2022年のカタールW杯での活躍は、堂安律選手の勝負強さをさらに印象付けるものでした。
堂安選手は、重要な局面で試合を動かす勝負強さがあり、どんな状況でも頼れる存在。まさに「切り札」ともいえる選手ですよね。
そこで今回は、堂安律のプレースタイルの特徴と課題、プレースタイルを築き上げた経歴について解説します。
堂安律のプレースタイルの特徴
堂安律選手のプレースタイルの特徴として、
- 鋭いカットインからのシュート
- サッカーIQの高さ
- 負けん気と勝負強さ
- 強靭なフィジカル
などがあります。
ポジションと、それぞれの特徴について順番に見ていきましょう!
ポジション
堂安律選手の主なポジションは、右WGやWBです。
フライブルグでは4-2-3-1のフォーメーションを採用しています。
堂安選手が最も得意とするのは、右サイドからの攻撃です。
このポジションでは、縦への突破だけでなく、得意とするカットインからの左足シュートが最大の武器となります。
右足でクロスを上げるよりも、左足でシュートやスルーパスを狙うプレーが多い印象。
鋭いカットインからのシュート
堂安律選手の鋭いカットインからのシュートは、彼の攻撃における最大の武器の一つです。
このプレーは、右サイドを起点に縦に行くと見せかけて、相手ディフェンダーの重心を逆方向に揺さぶりながら、内側に切り込む動きが特徴的です。
カットイン後には、彼の得意とする左足で精度の高いシュートを放ち、ゴールを脅かします。
このプレーの強みは、単なる個人技に留まらず、戦術的な効果を持つ点にあります。
カットインの鋭さが相手守備陣を引き寄せることで、中央にスペースが生まれ、他の選手のチャンスを作り出す役割も果たしています。
彼のカットインからのシュートは、ゴールへの直接的な脅威であるだけでなく、相手守備陣に継続的な負担を与え、試合全体の流れを有利にする重要な要素となっています。
サッカーIQの高さ
堂安律選手のサッカーIQの高さは、ピッチ上で常に冷静に状況を把握し、最適な判断を瞬時に下せる能力を持っています。
この特性は、攻撃時のスペースの利用や守備時のポジショニング、さらにはチーム全体の戦術に沿ったプレーにおいて顕著です。
例えば、相手の守備が崩れた瞬間を捉え、カットインやスルーパスで攻撃の起点を作る場面がしばしば見られます。
彼の動きには無駄がなく、次のプレーを見据えた準備が徹底されているため、ボールを持った瞬間のプレースピードが非常に速いです。
また、守備では、相手のパスコースを予測して効率的にプレスをかけ、チーム全体の守備をスムーズにする役割を担っています。
負けん気と勝負強さ
堂安律選手の負けん気と勝負強さは、どのような状況でも自信を失わず、勝利に対する執念をプレーに反映させることで、試合の流れを変える存在感を発揮します。
特に、厳しい場面やプレッシャーのかかる試合でこそ、そのメンタリティが光り、チームに勢いをもたらしています。
堂安選手の勝負強さは、重要な場面でのゴールやアシストという形でしばしば結果として現れます。
例えば、ワールドカップや国際大会のような舞台で、相手守備陣のプレッシャーを跳ね返して決定的なプレーを成功させる場面は、その象徴です。
この精神的な強さは、堂安選手を単なる技術やフィジカルの優れた選手にとどまらず、勝利への強い意志でチームを牽引するリーダー的な存在にしています。
強靭なフィジカル
堂安律選手の強靭なフィジカルは、サイドでの1対1の局面やボールキープ時に発揮される強さが際立っています。
堂安選手は低重心でバランスが良く、相手ディフェンダーの激しいプレスやフィジカルコンタクトを受けても簡単には倒れず、ボールを保持し続ける能力に優れています。
例えば、ボールをキープしながら周囲の味方に時間を与え、攻撃の起点を作り出すシーンや、守備で相手のボールを奪取する場面でその価値が明確に表れます。
また、彼の体幹の強さは、カットインやシュート時の姿勢の安定にもつながり、正確性や威力を高めています。
堂安律のプレースタイルの課題
堂安律選手は多くの強みを持つ選手ですが、いくつかの課題も挙げられます。
課題点は、以下の3つ。
- 右足の質
- スピードの向上
- 継続的な守備貢献
などが挙げられます。
特に改善が期待される点を解説します。
右足の質
堂安選手は左足の技術と精度に長けていますが、右足でのプレーが限定的である点は改善の余地があります。
特に、相手守備陣が左足を徹底的にケアしてくる場合、右足を使ったシュートやパスが選択肢に入れば、プレーの幅が広がり、さらなる脅威を与えることができます。
スピードの向上
瞬発力や加速力は一定のレベルにありますが、純粋なスピードで相手を振り切るタイプではありません。
そのため、縦への突破力がやや限定的で、相手のプレスを受けた際に選択肢が狭まる場面があります。
トップスピードを向上させることで、より多様な攻撃が可能になるでしょう。
継続的な守備貢献
堂安選手は前線からのプレスやボール奪取に積極的ですが、守備面での運動量やポジショニングが継続的に安定しているとは言い切れません。
守備への意識をさらに高め、チーム全体の守備組織において持続的な貢献が求められます。
堂安律の能力を短評評価
堂安律:10の能力に対する短評評価と採点
❶ドリブル『88点』
細かいタッチと巧みなステップで相手を抜き去る技術は非常に高い。
狭いスペースでも突破できる能力があり、攻撃の起点となる場面が多い。
❷スピード『80点』
純粋なスピードでは突出していないが、瞬発力と判断の速さで相手を置き去りにする能力が光る。
❸パス『82点』
視野が広く、正確なショートパスを得意とする。
決定的な場面でのラストパスも見事だが、長距離の展開力にはさらなる向上の余地がある。
❹テクニック『90点』
ボールコントロールの技術は高水準。
カットインやシュートの際の精度の高さも特筆すべき点。
❺フィジカル『87点』
低重心と体幹の強さがあり、接触プレーでも簡単には崩れない。
相手を背負ってボールをキープする能力に優れる。
❻攻撃力『88点』
得点力が高く、特にカットインからの左足シュートは脅威。
試合を決める場面での冷静なフィニッシュが目立つ。
❼守備力『75点』
前線からのプレスやボール奪取には積極的。ただし、守備におけるポジショニングや持続力には改善の余地がある。
❽空中戦『65点』
身長が大きな武器ではないため空中戦の強さは平均以下。
ただし、タイミングの良さでカバーする場面もある。
❾サッカーIQ『90点』
状況判断や試合全体を読む力に優れており、攻守の切り替えでの動き出しが秀逸。
チームの戦術理解にも長けている。
➓メンタル『93点』
プレッシャーのかかる場面で力を発揮し、負けん気の強さが試合を通じて現れる。
チームを鼓舞する姿勢も評価される。
堂安律のプレースタイルを築いた経歴
堂安律の歴代所属チーム
主な所属チームは、
- 浦風FC
- 西宮少年SS
- ガンバ大阪ジュニアユース
- ガンバ大阪ユース
- ガンバ大阪
- FCフローニンゲン(オランダ)
- PSVアイントホーフェン(オランダ)
- アルメニア・ビーレフェルト(ドイツ)
- フライブルグ(ドイツ)
などがあります。
小学生時代
大阪府尼崎市でサッカーを始めた堂安選手は、小学1〜3年の時に浦風FC、4〜6年の時に西宮SSでプレーし基礎的な技術を学びました。
中学に進学時、複数のユースチームかのオファーがあり、ガンバ大阪ジュニアユースを選択します。
中学生・高校生時代
堂安選手はガンバ大阪のジュニアユースへ。
ガンバ大阪アカデミーは、技術重視の育成方針で知られており、ポゼッションを基本とするスタイルの中で彼はボール扱いや判断力を一層向上させました。
特に、フィジカル的な課題を克服するためのトレーニングに取り組み、守備と攻撃の両面で戦術理解を深めることができました。
この時期、全国大会での優勝経験は彼の自信を高める重要な経験となりました。
ジュニアユースからユースへ昇格した堂安選手ですが、16歳でプロデビューを果たします。
これは、クラブ史上2番目に早い記録となっています。
ガンバ大阪
2016年、ガンバ大阪のトップチームへ昇格。
3年間所属しますが、出場機会には恵まれず19歳で海外挑戦を決断。
ガンバ大阪でのプレー経験により、厳しい競争環境に適応し、試合で結果を求められるプレッシャーにも耐性を身に付けたことが大きな財産となっているでしょう。
ガンバ大阪 | ||
年 | 試合数 | 得点 |
2017 | 10 | 3 |
2016 | 3 | 0 |
2015 | 2 | 0 |
FCフローニンゲン(オランダ)
2017年、オランダのFSフローニンゲンへとレンタル移籍します。
フィジカルコンタクトが激しいオランダリーグでの適応が求められ、堂安選手は身体の強さと守備意識を向上させました。
このリーグでの経験により、カットインだけでなく、守備での貢献や中盤でのボール保持能力が強化されました。
また、チームの中で若い選手ながらも主力として期待され、リーグ戦での連続ゴール記録やクラブの残留争いでの活躍は、彼にとって貴重な成長の場となりました。
2018年には、マン・オブ・ザ・マッチに選出されるなどの活躍もあり、レンタル移籍から完全移籍することとなりました。
FCフローニンゲン | ||
年 | 試合数 | 得点 |
2019-20 | 2 | 1 |
2018-19 | 30 | 5 |
2017-18 | 29 | 9 |
PSVアイントホーフェン(オランダ)
2019年、オランダの強豪・PSVアイントホーフェンに移籍。
この移籍により、クラブ史上初めての日本人選手となりました。
ここでは、欧州のトップレベルでの戦術理解とプレースピードの向上が求められました。
選手層は厚く、なかなか出場機会にも恵まれない状況が続き、2020年にアルメニア・ビーレフェルトにレンタル移籍となります。
2021年には、アルメニア・ビーレフェルトへのレンタル移籍から復帰。
2021-22シーズン終了時に、再びドイツへ移籍することとなります。
PSVアイントホーフェン | ||
年 | 試合数 | 得点 |
2021-22 | 24 | 8 |
2019-20 | 19 | 2 |
アルメニア・ビーレフェルト(ドイツ)
2020年、ドイツ・ブンデスリーガのアルメニア・ビーレフェルトに、2020-21シーズン終了までのレンタル移籍となりました。
ブンデスリーガの高いフィジカル要求に応え、残留争いに巻き込まれていたチームの1部残留に貢献しました。
ビーレフェルトは、堂安選手の完全移籍での獲得を目指したものの、財政難でそれも叶わず、2021年6月に退団します。
アルメニア・ビーレフェルト | ||
年 | 試合数 | 得点 |
2020-21 | 34 | 5 |
SCフライブルグ(ドイツ)
2022年、ドイツ・ブンデスリーガのSCフライブルクへ完全移籍。
攻守両面での貢献が求められ、特に守備面での献身的なプレーが評価されています。
ブンデスリーガやUEFAヨーロッパリーグでの活躍を通じて、国際的な評価を高めています。
SCフライブルグ | ||
年 | 試合数 | 得点 |
2024-25 (12月13日時点) | 13 | 5 |
2023-24 | 30 | 7 |
2022-23 | 33 | 5 |
日本代表
2018年にA代表デビューを果たした堂安選手は、その後、攻撃陣の中心選手として定着し、日本代表の戦術に欠かせない存在となっています。
初期の代表での台頭
堂安選手が注目されたのは、2018年のAFCアジアカップ予選や親善試合でのパフォーマンスです。
彼は右サイドでのプレーを中心に、カットインからのシュートやパスで攻撃のリズムを作り、若いながらも堂々としたプレーを披露しました。
特に、左足の正確なシュートは国際舞台でも通用することを証明しました。
東京オリンピックでの経験
2021年の東京オリンピックでは、U-24日本代表の主軸として全試合に出場。
右サイドからの攻撃や守備の切り替えで存在感を発揮し、準決勝進出に大きく貢献しました。
この大会で見せたフィジカルとメンタルの強さは、日本の将来を担う選手としての期待をさらに高めました。
ワールドカップでの活躍
2022年のカタールワールドカップでは、グループリーグのドイツ戦で途中出場ながら同点ゴールを決めるという決定的な仕事を果たしました。
この試合でのゴールは日本の勝利を引き寄せる大きな転機となり、堂安選手の「勝負強さ」を象徴するシーンとして語り継がれています。
また、スペイン戦でもゴールを挙げ、強豪相手に結果を出せる選手として国際的な評価を得ました。
日本代表での役割
堂安選手は、右サイドでのプレーが主ですが、時には中央でプレーメーカーとしても機能し、多面的な役割を果たしています。
攻撃時の切れ味あるドリブルやカットインはもちろん、守備においてもプレスやボール奪取に積極的で、攻守両面での貢献が大きいです。
さらに、試合終盤の苦しい時間帯でも、メンタルの強さを武器に流れを変えるプレーを見せます。
日本代表 | ||
年 | 試合数 | 得点 |
2018-24 | 55 | 10 |
まとめ
堂安律選手は、現在ドイツ・ブンデスリーガのSCフライブルクでプレーしています。
プレースタイルの特徴として、
- 鋭いカットインからのシュート
- サッカーIQの高さ
- 負けん気と勝負強さ
- 強靭なフィジカル
などがあり、課題としては、
- 右足の質
- スピードの向上
- 継続的な守備貢献
などが挙げられます。
若い時からプロとして海外挑戦し、強靭なメンタルと、勝負強さでクラブや日本代表でも活躍している日本の「10番」。
これからのさらなる活躍から目が離せませんね。
コメント